【保健の勉強】児童虐待の実態と予防策(Q&Aあり)

こどもの虐待死事件が
テレビのニュースで大々的に取り上げられており、
深刻化する前に何かできなかったのか?
と感じますよね。

保育園でも児童虐待疑い事例に関わることはあるので、
必要最低限の知識は必要です。

今回は、保育園看護師が知っておくべき
児童虐待の実態と予防策についてご紹介します。

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児童虐待相談・対応件数

出典:令和2年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)

児童相談所が対応した件数は205044件で、
年々最多を記録しています。

ただこの数値は、対応した件数なので、
そのうちどれくらいが虐待と判定されたのかは不明です。

 

注意が必要なのは、

相談対応件数は、実際の児童虐待件数と同じではない。
→発覚した虐待事例、疑わしい事例の相談が含まれるので、実際の件数ではありません。

虐待相談の分類

出典:令和2年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)より作成
児童虐待の分類
●身体的虐待:殴る、蹴るなど分かりやすい暴力
●ネグレクト:こどもの世話をしない、こどもを一人で長期間放置するなど
●性的虐待:体を触る、大人の性器を見せる、性交など性的なこと全般
●心理的虐待:こどもに暴言を吐く、こどもがDVを目撃するなど
毎年一番多い相談内容は心理的虐待なのですが、
令和2年度は、心理的虐待の割合が前年より多くなり、
件数も約12000件増加しています。
一番少ないのは性的虐待です。

ただ、被害を訴えられないことも多いため、
性的虐待の実態は、相談対応件数よりもはるかに多いと考えられています。

虐待死の件数

出典:厚生労働省 子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第16次報告)の概要

平成30年度中に発生し、
表面化した子ども虐待による死亡事例は
64件(73人)でした。

虐待死は減少傾向なのですが、
「虐待が原因」と判定する基準を適当に操作してしまえば、
数字はいくらでも変動させられるので、
件数の増減だけを見るのはお勧めできません。

児童虐待の加害者

出典:厚生労働省:H23.10.7 保健師中央会議「児童虐待防止対策について」

おとぎ話では、継母にいじめられていますけど、
実際の加害者はほとんどが実の両親です。

児童虐待事例

出典:Think Kids

Think Kidsで児童虐待による死亡事例がまとめられています。

ただ、事件になるような事例はそこまで多くなく
NHKのクローズアップ現代で取材されているような
ニュースで報道はされていませんが、
日々のイライラなどから
こどもに手をあげてしまった事例の方が多いです。

出典:クローズアップ現代

児童虐待への対応

気づく

虐待の疑いがある乳幼児の所見

①低身長 ・低体重
②体の外傷、あざ、火傷
③骨折、頭蓋内出血などの既往
④無表情、活気のなさ、おびえ、落ち着きのなさ、多動
⑤体の汚れ、衣服の汚れ
⑥虫歯が多い、歯槽膿漏、口の中の傷
⑦年齢にふさわしくない性的な行動、表現およびことば
⑧他の子どもに乱暴、暴力的
⑨誰にでもべたべたする、親の傍に近寄りたがらない

日本小児科学会の子ども虐待診療の手引き(第 2 版)より

どれか一つが当てはまれば
即虐待疑いというわけではありませんが、
複数当てはまると疑いが強まります。

親御さんの気になる様子

①子どもと一緒にいても楽しそうでない。抱きしめたり視線を合わせたりしない。
②「子どもが嫌い」と否定的なことを言い、子どもを見る目が険しい。
③家族のことを話したがらない、ガードが固い。
④自然食や育児マニュアルに固執し、潔癖性が目立つ。
⑤新生児訪問や乳幼児健診を受けていない、または拒否する(母子手帳が真っ白 )。
⑥予防接種を受けていない。または拒否する。
⑦親の成育歴に、虐待やネグレクトがある。
⑧体の外傷、あざ、火傷など DV を疑わせる所見を認める

日本小児科学会の子ども虐待診療の手引き(第 2 版)より

親御さんに一つでも当てはまれば、
子育て支援やカウンセリング、シェルターへの避難など
自治体が介入する事案となります。

みさき
みさき
保育園は、こどもと親御さん両方に
毎日接触できる環境なので
ちょっとした変化にも気づけるようにならないといけません。

保育園での対応

虐待の可能性が高い場合は、
園長から自治体・児童相談所に通告します。
(その後児童相談所が介入し、一時保護になることもあります。)

最近は、入園前から
要支援家庭として自治体の支援が入っていたり
乳幼児健診で気になることがあって、
自治体から園に連絡が来たりするので、
園の方から通告するより、
自治体から連絡が来ることの方が多いです。

虐待を予防するには?

加害者の親を理解する

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「こどもを虐待する親」と聞いて、
どういう親が思い浮かびますか?

鬼のような親?
自分勝手な親?
年齢が若い親?

もしそう思っているのであれば、
一度3つの記事を読んでみてください。

みさき
みさき
園で保護者支援を行う場合、
保護者が「不適切な養育」を行う精神状態や
具体的にどう支援したらいいのかのヒントが見つかります。
出典:ハートネットTV

★NHK【特集】子どもの虐待(3) 虐待をやめるために親ができること
 息子さんは発達障害があり、
 その特性と向き合う方法が分からず追いつめられ、
 両親が暴力をふるってしまったという例です。
 親が趣味に没頭したり、
 息子への不満をノートにつづったりなど
 できることから対策して、暴力を止められたというエピソードです。

出典:ダイアモンドオンライン

★児童虐待の深刻さと対策の難しさが理解できる数々の日本映画
 映画でも児童虐待を取り上げているものがあり、
 映像で見ると、余計に虐待の凄惨さや
 親・家族の置かれた状況がリアルに想像できます。

出典:現代ビジネス

★現代ビジネス 我が子を虐待する親の「悲しい真実」
 上記ルポライターへのインタビューで、
 NHKのものより事例が多く、長編になっています。
 一部引用すると…
 わが子をネグレクト死させた親たちは、
 現実をもとに未来を作り出す力が弱く、
 現実を見ないようにすること、
 逃げ出すことで、つじつま合わせをしようとする。
 自分たちを大事にすることを誰からも教わらなかった。
 生きる力がある人たちは、周囲の力を借り、
 経済力を使い、公的支援を使い、自分の願いを実現する。
 だが、力の乏しい人たちは、周囲を動かすことができず、
  唯一思い通りになるわが子を痛めつけ、自滅する。
 と、虐待する親の特徴についてまとめています。

保育園でできる予防策は主に「子育て支援」

私の勤務園では…
★送迎時に保護者に声をかけて世間話をする
★お迎え時に、こどものポジティブな面を伝える
★困った時にいつでも相談して下さいというパンフレット、ポスター掲示
★保護者に指導するのではなく、一緒に考えていくという姿勢で話を聞く
などを行っています。

みさき
みさき
これさえやれば完璧!
という方法はなく、
地道にコツコツやっていくしかないです。

児童虐待Q&A

体罰が禁止されたけど、厳しい指導は必要なんじゃない?

令和元年6月に児童福祉法等改正法が成立し、
親権者等は、児童のしつけに際して、
体罰を加えてはならないことが法定化され、
令和2年4月から施行されました。

出典:厚生労働省 「体罰等によらない子育てのために」ポスター

法改正の時に、メディアで話題になりましたよね。
親からの意見として、
「子育てしづらくなる」
「厳しい指導も必要」というものがありました。

しかし教育に体罰が必要というのは誤りで、
体罰や不適切な養育で
こどもの脳の一部が変形・機能不全になり
生涯生きづらさを抱えることになるということが
脳科学領域の研究で判明しています。

※詳細はこちらの書籍で解説されています。

教育に体罰は不要で、
むしろ悪影響が深刻なので、
現在では体罰は禁止されています。

どこからが虐待?どこまではしつけ?

基本的にこどもの権利を侵害するものは虐待です。

みさき
みさき
例えば「靴を揃えなさい」
と言うのはしつけですが、
靴を揃えないからといって殴ったり
「お前はそんなこともできないのか!」
と罵るのは虐待です。

子どもにも
「暴力から保護される権利」
「思想・良心・宗教の 自由」があります。
こどもの権利条約の詳細はこちらです。)

出典:ユニセフ

もちろん親の言うことを聞かないと、
周りから変な目で見られたり、
子ども自身が恥ずかしい思いをすることもあるので、
こどもがしたことの結果は、
こども自身に返ってくるのですが、
だからと言って、子どもが親の思い通りに行動する義務はありません。

みさき
みさき
命に関わるような緊急事態なら、
羽交い絞めにしてでも止めないといけないですが、
それ以外の平常時では
こどもの権利を侵害していないかがポイントになります。

まとめ

★虐待相談対応件数は、年々増加している
★一番多い虐待は、心理的虐待
★虐待加害者は実の母・父の順で多い
★虐待を受けている子どもや、加害の親には特徴がある
★保育園では、加害する親の状況を理解し支援しないといけない
★体罰禁止は子どもの脳が変形するから
★子どもの権利を侵害する行為は「虐待」
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