保育園で預かる薬で一番多いものは何でしょうか?
………そう!!保湿剤です。
だいたい午睡(お昼寝)前に塗って下さいという依頼が多いのですが、
法人内の別の看護師さんと雑談していると
どうも保湿剤の塗り方が曖昧なんですよね。
私も病棟勤務時代はちゃんと理解していなくて、
保育園に転職してからしっかり学びなおしたので、
意外と看護師でも、理解していない人が多いのかもしれないなと感じました。
今回は正しい保湿剤の塗り方について画像を使って説明します。
今、そんなことわかってるよ!
って思いませんでした?
ちなみにタイトルの56gなのですが、
乳児でも1日2回全身に使用すると1週間で56g必要です。
(1カ月だと240g…!)
※マルホ株式会社の発表資料は1日1回塗布を想定されていますが、
処方では1日2~3回塗布の指示が多いため、1日2回塗布で計算しました。
想像以上に大量で、ベタベタになります(汗)
保湿剤の塗り方
まずは1FTU!(でも毎回確認しなくてOK)
1FTU(finger tip unit)とは、
人差し指の第一関節から指先までの長さにチューブの軟膏を絞り出す量です。
※25gや50gの大きいチューブで1FTU=0.5gになりますが、
5gのチューブでは2FTU=0.5gになります。
ミルクタイプや水分量が多い保湿剤は、1円玉大が1FTUになります。
この1FTUを大人の手の平2枚分の広さに塗るのが目安です。
※もちろんゴシゴシ擦らないことは重要です。
ただ、毎回1FTUを確認しなくても、
簡単に十分な量が濡れているか確認する方法があります。
塗った後、ティッシュペーパーがくっついて
逆さまにしても落ちない程度です。
結構しっとり(ベタベタ?)感がないとティッシュってくっつかないので、
ぜひ一度試してみて下さい。
だんだん塗る量が減ってくる人が多いので、
1回1回1FTUを量らなくてもいいですけど、
ティッシュがくっついて落ちない程度かは
常に意識しておいた方がいいです。
あれ?チューブの大きさによって量が違う!
そうなんです。
指先から第一関節までの長さを出す方法は
チューブの大きさによって量が変わってしまうんです。
え?量る意味なくないですか?
量は少ないと効果が減弱するのですが、
量が多い分には困りません。
あと、荒れた皮膚状態だと1FTUよりも多い量が必要なので、
あくまでも1FTUは必要最低限量だということを忘れないでください。
あれ?でも、1FTUで足りないことがあるんだったら、
どういう皮膚状態になったら、保湿剤が充分なんですか?
それは、以下をご覧ください。
どんな皮膚状態になればいいの?ハンドクリームで実践!
お手持ちのハンドクリームで
1FTUを出して、両手の平にのばしてみましょう。
(注)手の甲にはのばさないで下さい。
最初は、量が多いかな?と思うくらい
ハンドクリームによっては白っぽく残るんですが、
時間と共に皮膚になじんできてしっとりします。
なるほど。塗った直後に「ちょっと多いかも」って感じるんですね。
保育園での保湿剤塗布指導
看護師が塗布している園が多いと思うのですが、
看護師不在の時や、そもそも保育士が塗布している園もあります。
この1FTUをみんなで体験してみて、
どのくらいたっぷりの量なのか理解してもらうことが重要です。
私の場合、保護者にも指導しておかないと、
「保湿剤塗る量が多い!そんなに頻繁に病院行けないんだから、少ない量使って!」
と保護者からクレームが来たことがあります。
いや、そもそもたっぷり塗らないと
効果的じゃないですよって、
保健だよりとかで、事前にお知らせしておかないといけないですね。
病院とか薬局で薬剤指導ってするもんだと思うんですけどね…。
ちょっとモヤモヤポイントですね。
具体的な目安量を説明すると、
以下の表の量になります。
年長さん(6歳)だと、
1日2回全身塗布で
1週間で168g、1ヶ月で720gになります。
処方された保湿剤では足りない事が多いので、
ご家庭で市販の保湿剤を追加で使用しないといけなくなります。
かぶれたり、こどもが嫌がる匂いでなければ何でもいいのですが、
一般的にセラミド等保湿成分が多く含まれると
高価になる傾向があります。
うちの子どもにも色々試したのですが、
普段は乳液タイプの保湿剤ですが、
乾燥する時期にワセリンを乳液に混ぜて保湿すると
皮膚トラブルなく過ごせています。
園によっては、看護師以外の職員が
預かった保湿剤を塗布することもあるので、
職員にもしっかり伝えておかないといけない内容です。
参考サイト
まとめ
★毎回1FTUを確認しなくてもいいが、想像以上に大量に塗らないといけないことは覚えておく。
★実際ハンドクリームで1FTUを体験してみよう!